熊野 友華, 岩田 洋平, 山北 高志, 室 慶直, 久保 良二, 杉浦 一充
臨床皮膚科 74(8) 579-582 2020年7月
<文献概要>38歳,女性.抗菌薬不応性の発熱,全身の紅斑,両前腕の筋痛,関節痛があり,初診1ヵ月前に近医を受診した.蕁麻疹様血管炎を疑われプレドニゾロンの内服が開始され,一旦皮疹は消退したが減量に伴い再燃したため当院へ紹介となった.初診時は胸部,上背部,腰部に網目状色素沈着を認め,皮膚筋炎や成人Still病が疑われた.皮膚筋炎の各種特異抗体は陰性であり,成人Still病の診断基準を満たし,非定型疹を呈した成人Still病と確定診断した.成人Still病は典型的なサーモンピンク疹だけでなく,多彩な非定型疹を呈することがあり,診断に難渋することもある.自験例のように色素性痒疹様皮疹を認め,発熱や関節痛などを生じていたときは,成人Still病も鑑別する必要がある.