菅原 京子, 東谷 薫, 臼田 俊和, 岩田 洋平, 小寺 雅也
皮膚病診療 27(12) 1441-1446 2005年12月
51歳男.5年前に発熱,紅斑が出現し,プレドニゾロン(PSL)内服で軽快したが,自己中断後に再燃を繰り返した.顔面,頸部,胸部の露出部,背部に爪甲大の浮腫性紅斑を認め,一部は環状を呈していた.また,口唇炎,著明な眼科的乾燥症状を認めた.血液生化学検査で白血球5700/μl,CRP軽度上昇,抗核抗体は80倍,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体陽性であった.紅斑の生検病理所見で表皮基底層の軽度液状変性と真皮浅層の血管周囲,附属器周囲のリンパ球浸潤を認めた.亜急性皮膚エリテマトーデスの皮疹を伴ったSjoegren症候群(SjS)と診断し,PSL 25mg/日で皮疹のコントロールは良好となったが減量で再燃するため,ciclosporin(CyA) 150mg/日を併用した.その結果,安定状態が得られ,PSL 7.5mg/日,CyA 60mg/日で皮疹は顔面に淡い紅斑を残すのみとなり,体幹部には多少の沈着を認めたが,瘢痕を残さず軽快した.発症後10年の経過で,SjS以外の診断基準を満たすには至っていない