丸山 尚子, 渡邊 真, 田原 智満, 藤田 浩史, 長谷川 申, 中村 雅彦, 神谷 芳雄, 中村 正克, 高木 環, 長坂 光夫, 岩田 正己, 柴田 知行, 高濱 和也, 有沢 富康, 平田 一郎, 野呂 智仁, 花井 恒一, 前田 耕太郎, 黒田 誠, 中野 浩, 今井 泰, 上村 守生
Progress in Medicine 28(2) 470-472 2008年2月
59歳男。14年前に潰瘍性大腸炎を指摘され、メサラジン内服を開始した。その後の内視鏡でS状結腸に深い縦走潰瘍、注腸でS状結腸から下行結腸にかけてのcobblestone appearance、下行結腸中部での管腔狭小化を認め、クローン病を疑われた。プレドニゾロン投与や経腸成分栄養剤(ED)で症状は落ち着いていたが、腹痛が増強し、ガストロ注腸で脾彎曲部の狭窄と胃・結腸瘻を認めた。手術予定で入院したが、突然腹痛を訴え、緊急CTで穿孔性腹膜炎と診断し緊急手術となった。脾彎曲部より5cm口側に径1cmの穿孔部を確認し、結腸左半切除術を施行した。切除標本では狭窄前後で色調が異なり、穿孔側結腸で菲薄化がみられ、壁内瘻孔の形成も認めた。病理所見で粘膜側は浮腫性で腺管が萎縮し、漿膜側にも炎症性細胞浸潤を認めた。またpaneth cell metaplasiaやgoblet cell depressionがあり、潰瘍性大腸炎に近いと考えられた。術後経過は順調で、ED導入後退院した。