研究者業績
基本情報
MISC
7-
日本高齢消化器病学会誌 14(2) 7-11 2012年4月今回われわれは当院で経験した腸管憩室穿孔13例について検討した。内訳は男性7例、女性6例、平均年齢は65歳であった。このうち70歳以上を高齢者群(7例)、70歳未満を非高齢者群(6例)に分類し、臨床因子について比較検討した。高齢者群で有意に多かった因子は女性、free air、S状結腸穿孔、慢性疾患の合併、薬剤服用歴、便秘であった。また、NSAIDsの内服歴が高齢者で有意に多かった。併存疾患として心血管疾患が高齢者に多い傾向にあった。血液検査所見として高齢者は白血球数が4,000/μl未満の症例が多い傾向にあった。高齢者の腸管憩室穿孔症例における臨床的特徴について文献的考察を加え報告する。(著者抄録)
-
老年消化器病 21(2) 115-119 2009年高齢化社会を迎え心疾患や脳血管疾患が増加し、その予防や治療目的で抗凝固薬や抗血小板薬が用いられる機会が多くなり、これらの薬剤は時に消化管出血の原因となることが危惧される。今回、高齢者における食道出血性病変について81症例(Mallory-Weiss症候群20例・逆流性食道炎37例・食道潰瘍15例、うち42例が65歳以上の高齢者)を対象に抗凝固薬・抗血小板薬との関連性について検討した。その結果、抗凝固薬或いは抗血小板薬を処方されていたのは14例(28.6%)で全例高齢者であり、出血によりヘモグロビンが10g/dl以下をきたしていたのはこの14例で、4例に対しては輸血を要し、またこの14例は1例を除き何らかの心疾患や脳血管疾患の既往を有していた。以上より、これらの薬剤投与中には消化管出血の可能性があることを患者・家族に説明して注意を促すことが必要と考えられた。