小林 隆, 芳野純治, 乾 和郎, 若林貴夫, 奥嶋一武, 三好広尚, 中村雄太, 渡邉真也, 服部昌志, 内藤岳人, 木村行雄, 服部信幸, 小坂俊仁, 塩田國人, 磯部 祥, 友松雄一郎, 山本智支, 成田賢生
老年消化器病 21(2) 115-119 2009年
高齢化社会を迎え心疾患や脳血管疾患が増加し、その予防や治療目的で抗凝固薬や抗血小板薬が用いられる機会が多くなり、これらの薬剤は時に消化管出血の原因となることが危惧される。今回、高齢者における食道出血性病変について81症例(Mallory-Weiss症候群20例・逆流性食道炎37例・食道潰瘍15例、うち42例が65歳以上の高齢者)を対象に抗凝固薬・抗血小板薬との関連性について検討した。その結果、抗凝固薬或いは抗血小板薬を処方されていたのは14例(28.6%)で全例高齢者であり、出血によりヘモグロビンが10g/dl以下をきたしていたのはこの14例で、4例に対しては輸血を要し、またこの14例は1例を除き何らかの心疾患や脳血管疾患の既往を有していた。以上より、これらの薬剤投与中には消化管出血の可能性があることを患者・家族に説明して注意を促すことが必要と考えられた。