西野 譲, 加藤 賢一, 吉田 秀雄, 片山 雅夫, 深谷 修作, 吉田 俊治
日本臨床免疫学会会誌 32(1) 61-65 2009年2月
症例1は46歳男性.1975年頸部痛,四肢関節の疼痛,腫脹出現.1983年X線写真上仙腸関節炎,HLA B-27陽性にて強直性脊椎炎(AS)と診断.非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に加えsulfasalazine(SSZ)投与後methotrexate(MTX)に変更し17.5mg/週まで増量,prednisolone(PSL)7.5mg/日併用したが改善に乏しかった.2005年4月infliximab(IFX)導入後疼痛,炎症反応改善し,PSL中止,MTX10mg/週まで減量できた.症例2は57歳男性.1975年頸部可動性悪化.1989年X線写真上頸椎強直,仙腸関節炎にてASと診断され,NSAIDs使用.1994年四肢関節の疼痛,腫脹出現しPSL10mg/日投与,bucillamine,MTX8mg/週,leflunomideを試みるも改善に乏しかった.2005年5月IFX導入にて,短期的には四肢関節炎が改善した.わが国でも従来の治療に抵抗性のASにはIFXも選択肢の一つとなる治療法と考えられた.(著者抄録)