多武保 光宏, 藤本 清秀, 星山 文明, 中西 道政, 井上 剛志, 平山 暁秀, 植村 天受, 平尾 佳彦
泌尿器科紀要 50(7) 497-499 2004年7月
61歳男性.患者は下腹部不快感,排尿困難で受診し,直腸診で前立腺部に軽度圧痛を認め,慢性前立腺炎の診断でセルニチン・ポーレンエキスを投与し症状は軽快したが,CTで膀胱背側の左精嚢頭側に3×2cmの充実性腫瘍を認めたため手術目的で今回入院となった.直腸診では前立腺部圧痛は消失しており,前立腺はクルミ大で弾性硬であった.骨盤CTで膀胱後腔の左精嚢頭側にiso-densityな腫瘍を認め,MRIでは腫瘍はT1,T2強調像ともに低信号,辺縁は整で,造影では緩徐に濃染され内部は不均一であった.膀胱,直腸,精嚢との連続性はなく,後腹膜原発腫瘍と診断し腫瘍摘出術を行った.腫瘍は左精嚢の一部と癒着があり,精嚢の一部と共に摘出した.病理所見では腫瘍は分化の良い筋組織で満たされ,細胞異型は認めず,後腹膜原発平滑筋腫と診断した.術後約6ヵ月経過現在で再発は認めていない