医学部
基本情報
研究分野
1論文
27-
小児内科 55(11) 1811-1815 2023年11月症例は5歳女児で、発熱、悪心、胸痛を主訴とした。砂遊びによる両手指の慢性湿疹に対して外用加療中であり、近医受診後も発熱が持続し、入院時には胸骨直上に辺縁不明瞭な発赤、腫脹を認め、CT検査で胸骨体の両側に低吸収帯を認めた。感染症の疑いで抗菌薬治療を開始し、血液培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が同定されたため、バンコマイシン(VCM)を併用した。その結果、解熱と胸痛の軽快が得られ、MRSAによる原発性胸骨骨髄炎と診断した。その後はCRP陰性化を確認してリネゾリド内服に変更し、VCMと併せて計6週間の抗MRSA薬による治療を行ったところ、炎症の再燃や血小板減少は認めなかった。本症例では手指の慢性湿疹が感染経路と考えられ、慢性湿疹を背景に持つ患児では薬剤耐性菌による全身性の感染症に留意する必要があると考えられた。
MISC
30-
日本マス・スクリーニング学会誌 30(2) 137-137 2020年9月
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日本小児高血圧研究会誌 17(1) 4-8 2020年7月高安動脈炎は大動脈とその主要分枝などに病変を生じる大型血管炎で、若年女性に好発する。疾患特異的なマーカーがなく、微熱や全身倦怠感が数週間〜数ヵ月続き、不明熱の鑑別の中で診断されることが多い。我々はけいれん重積で搬送された児が精査の結果、高安動脈炎による腎動脈狭窄が原因の高血圧性脳症だったことが判明した症例を経験したので報告する。症例は13歳、女児。生来健康で、既往歴、家族歴に特記すべきことなし。受診の1ヵ月ほど前から頭痛・嘔気を度々訴えていたが、登校できていた。受診前日の夜より眠れない程の強い頭痛を訴え、翌日朝に児がけいれんしているところを家族が発見し当院へ救急搬送された。けいれん重積および収縮期200mmHg以上の高血圧を認め、それぞれ抗けいれん薬および降圧薬の投与を開始した。頭部MRIの所見より高血圧性脳症と診断した。身体所見では腹部の収縮期血管雑音を認め、四肢の血圧の左右差は認めなかった。またCRPを含めた血液検査は正常であった。後に判明したRA系の亢進と、入院2日目に実施した胸腹部の造影CTで広範囲にわたる大動脈ならびに腎動脈を含む主要分枝の狭窄所見から、高血圧の原因は高安動脈炎による腎血管性高血圧と診断した。バイパス術など専門的な治療を要すると判断し入院4日目に他院に転院となった。本症例はけいれん重積で搬送され診断に至った比較的稀な例である。発熱の病歴はなく、受診時のCRPなどの炎症マーカーも陰性であり、さらにPET-CTにおいても病変部位の炎症反応を検出できず、すでに高度に狭窄した血管病変がみられた。本疾患では一般にCRPや赤沈値などの非特異的な炎症性蛋白の上昇を伴うことが多いが、慢性の経過を辿る症例では炎症所見に乏しい症例も存在する。高学年〜思春期の特に女児に原因不明の重度高血圧を認める場合は本症の可能性を考える必要がある。(著者抄録)
講演・口頭発表等
1所属学協会
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2014年4月 - 現在
共同研究・競争的資金等の研究課題
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 2020年4月 - 2023年3月