江上和宏, 齊藤泰紀, 伊藤文隆, 服部秀計, 小林英敏
日放腫瘍会誌 21(3) 165-168 2009年
【目的】早期前立腺がんに対するI-125を用いた永久挿入治療においては脱落線源の紛失による環境汚染が問題となっている.本研究では,挿入後から一時管理区域病室退院までの間の脱落線源を確実に捕捉しうる方策を検討する.【方法】2006年 7 月から2007年12月までの期間で,密封小線源挿入療法を施行した121例(7718個)を対象とした.挿入直後から退院までの脱落線源の発見事例における発見場所ならびに発見時期を検討し,脱落の場所,時期を推定した.【結果】退院までに総計43個発見され,頻度は43/7718(0.56%)であった.挿入後手術室にて 4 個,一時管理区域病室では膀胱内留置カテーテル抜去前が 2 個,そして,膀胱内留置カテーテル抜去後,一時管理区域病室退院時のサーベイで32個発見された.膀胱鏡にて,膀胱内より取り除いたのは 5 個であった.別に,退院後自宅で脱落したとして持参したのが 5 個であった.【結語】脱落線源を紛失しないためには,管理病室への入退室者の注意深いモニターと慎重なサーベイが必要と考えられた.