杉村裕志, 栃井大輔, 芦刈周平, 鬼原真理子, 北村由香, 栃井祥子, 須田 隆, 服部良信
日本呼吸器外科学会雑誌 26(4) 373-379 2012年
胸腔鏡下手術患者群において持続傍脊椎神経ブロックの有用性を後ろ向きに検討した.完全鏡視下肺切除術を行った連続した92名のうち32名で術中に傍脊椎神経ブロックを施し,術直後から0.2%塩酸ロピバカイン水和物注射液(アナペイン注2mg/ml),全量200 mlを3ml/時で持続投与した.同鎮痛法を行わない患者群と術後疼痛パラメーターを比較した.術当日から翌日の疼痛程度は傍脊椎神経ブロック施行群で有意に低値であった(Visual Analogue Scaleスコア平均値28±16 vs.43±18,p<0.01).疼痛増強時の臨時鎮痛薬投与量は同鎮痛法施行群でより少なかった.同鎮痛法に関連した副作用はみられなかった.胸腔鏡下肺切除術患者において持続傍脊椎神経ブロックは安全で簡便,かつ有効な疼痛緩和法であった.