日江井裕介, 加藤久幸, 油井健宏, 櫻井一生, 内藤健晴
口腔咽頭科学会誌 27(2) 161-164 2014年 査読有り
症例は65歳の女性. 半年前から続く咽頭違和感を主訴に近医を受診し, 左口蓋扁桃の腫脹を指摘され当科紹介受診となった. 左口蓋扁桃に 20mm 大の有茎性腫瘤を認め, 生検にて紡錘細胞癌と診断された. CT および PET-CT による画像診断にて, 頸部リンパ節転移や遠隔転移がなく, 腫瘍は左口蓋扁桃に限局し周囲組織への浸潤を認めなかったため, 顕微鏡下に経口腔的中咽頭腫瘍摘出術を施行した. 摘出標本の外観はマッシュルーム状の隆起性腫瘤であり, 病理組織学的に紡錘形腫瘍細胞の増殖と扁平上皮癌の混在した組織像を認めた. 切除断端は陰性であったが, 側方断端の安全域が不充分と判断し, 術後放射線治療 50Gy を施行した. 治療後19ヵ月経過した現在, 再発や転移は認めていない.