山田妃沙子, 杉本達哉, 織田裕行, 板東宏樹, 北元 健, 片上哲也, 藤山雅晴, 平川昭彦, 木下利彦, 中谷壽男
総合病院精神医学 23(3) 253-259 2012年 査読有り
関西医科大学附属滝井病院では,2001年から精神科医が救命救急センターに常駐し,救急医と連携して自殺未遂者に対する身体的・精神的治療を行ってきた。また,2007年から自殺対策のための戦略研究の共同研究施設となり,PSWも協働して未遂者に対して心理・社会的支援を行うようになった。さらに,2010年からは大阪府自殺未遂者実態調査事業の委託を受け,PSWも救命救急センターに常駐する体制を整えた。その結果,搬送後早い時期から情報収集,家族への情緒的サポート,ソーシャルワーク介入が可能となった。救命救急センターにおけるPSWの重要な役割としては,以下の4点が考えられる。未遂者に寄り添うこと,危機的状況になったときの対処能力をエンパワメントすること,自殺企図の根底にある心理・社会的問題に対して社会資源を活用し解決を図っていくこと,さらに,身近な人や関係機関との連携体制を構築し,より長期的なサポートを保障することである。