研究者業績
基本情報
研究分野
1経歴
2-
2017年4月 - 現在
-
2015年4月 - 2017年3月
論文
24-
東海産科婦人科学会雑誌 57 247-252 2021年3月poly(ADP-ribose)polymerase(PARP)阻害薬であるオラパリブは、プラチナ感受性再発卵巣癌に対して化学療法奏効後の維持療法として用いることで無増悪生存期間の有意な延長が示されている。本研究では、再発時にオラパリブ維持療法の適応となりうる卵巣癌患者の割合および背景を後方視的に検討した。2011年1月から2015年12月に藤田医科大学病院にて標準的な初回治療が施行された上皮性卵巣癌(卵管癌、原発性腹膜癌を含む)患者105例を対象とした。プラチナ感受性再発患者およびオラパリブ維持療法の適応となる患者の割合、背景、治療転帰につき後方視的に解析した。対象とした105例のうち再発を認めた患者は35例(33%)であり、プラチナ抵抗性再発は14例(13%)、プラチナ感受性再発は21例(20%)であった。プラチナ感受性再発患者21例に対する二次化学療法レジメンはパクリタキセル+カルボプラチン(TC)療法が最も多く、ベバシズマブ併用は6例(29%)であった。二次化学療法の奏効は、complete response(CR)が10例(48%)、Partial response(PR)が2例(10%)であった。再発治療でのオラパリブ維持療法の適応となりうる患者は上記の12例であり、再発患者の34%(12/35)、プラチナ感受性再発患者の57%(12/21)であった。プラチナ感受性再発に対する二次化学療法後のdisease-free interval(DFI)中央値は7ヵ月(3-18ヵ月)であった。プラチナ感受性再発患者の半数以上でオラパリブ維持療法の適応となることが示された。現行治療では再増悪時にプラチナ抵抗性となる可能性があり、オラパリブ維持療法によるDFIの延長が期待される。(著者抄録)
-
東海産科婦人科学会雑誌 57 285-289 2021年3月症例は65歳女性、ネフローゼ症候群の精査加療目的のため当院腎臓内科に入院管理となった。腎生検で膜性腎症と診断されたが、ステロイド治療に抵抗性であったため、二次性膜性腎症が疑われた。原因検索として行ったCT検査で子宮頸部に腫瘤性病変を認めたため、当科に紹介となった。子宮頸部腫瘍の病理診断は扁平上皮癌であり、MRI検査で長径96mmの腫瘍を認め、腟および膀胱への浸潤と坐骨転移を認めた。以上より、二次性膜性腎症を合併した子宮頸癌FIGO stage IV B期(TNM;T4N1M1)と診断し、シスプラチンを用いた同時化学放射線療法(concurrent chemoradiotherapy;以下CCRT)を行った。CCRT施行後、子宮頸部腫瘤は消失し病理学的完全奏効となり、同時に膜性腎症も改善した。現在治療開始後30ヵ月が経過し、再発なく経過観察中である。悪性腫瘍に起因した二次性膜性腎症においては、腎機能を含めた全身状態を考慮した上で積極的な抗腫瘍治療が重要と考えられた。(著者抄録)
-
Scientific reports 11(1) 2156-2156 2021年1月25日Persistent HPV infection associated with immune modulation may result in high-grade squamous intraepithelial lesions (CIN)2/3. Currently, there is little information on the cervicovaginal microbiome, local cytokine levels and HPV infection related to CIN. Follow-up of patients after local surgery provides an opportunity to monitor changes in the cervicovaginal environment. Accordingly, we undertook this longitudinal retrospective study to determine associations between HPV genotypes, cervicovaginal microbiome and local cytokine profiles in 41 Japanese patients with CIN. Cervicovaginal microbiota were identified using universal 16S rRNA gene (rDNA) bacterial primers for the V3/4 region by PCR of genomic DNA, followed by MiSeq sequencing. We found that Atopobium vaginae was significantly decreased (p < 0.047), whereas A. ureaplasma (p < 0.022) increased after surgery. Cytokine levels in cervical mucus were measured by multiplexed bead-based immunoassays, revealing that IL-1β (p < 0.006), TNF-α (p < 0.004), MIP-1α (p < 0.045) and eotaxin (p < 0.003) were significantly decreased after surgery. Notably, the level of eotaxin decreased in parallel with HPV clearance after surgery (p < 0.028). Thus, local surgery affected the cervicovaginal microbiome, status of HPV infection and immune response. Changes to the cervicovaginal microbiota and cervical cytokine profile following surgery for cervical intraepithelial neoplasia may be important for understanding the pathogenesis of CIN in future.
-
産婦人科の実際 69(3) 275-283 2020年3月<文献概要>子宮頸がんは予防可能ながん種として認識されてきた。HPV感染を予防することで発がんのリスクを抑え,感染後の細胞の変化を検診にて捉えることで,前がん状態もしくはがんであっても早期発見であれば,がん死することは避けられる。世界保健機関は今世紀中に子宮頸がんを撲滅するために,この10年ですべきことのロードマップを示している。一番重要なことはワクチン接種率を上げることにあり,次にすべきことは,費用対効果の点で最も効率のよい年齢で検診受診率を上げることである。ワクチン接種率が上がることにより,相対的に細胞診の検査としての精度は下がるので,HPV検査が検診手法の主流となる。検査としての感度が上がれば,当然受診間隔も延長可能となる。HPV検査キットにも種類があり,管理指針を念頭においたキットの選択も考慮する。オーストラリアではワクチン接種をいち早く国家レベルで導入し,HPV検診も導入されてきた。ワクチン接種とHPV検診プログラムの導入により,浸潤がんは著明に減少すると見込まれる。世界規模でみてみると超高所得国では9価ワクチンの接種カバー率が80〜100%で,生涯2回の検診が達成できれば,子宮頸がん撲滅は2055〜69年に可能との数字が示された。今や世界の潮流はワクチン接種率を上げ,それに伴いHPV検査を検診として導入することである。さらに費用対効果を考慮に入れると,生涯においてなるべく少ない検診回数で早期発見に努めることが主流となる。
講演・口頭発表等
3共同研究・競争的資金等の研究課題
2-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 2022年4月 - 2025年3月
-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 2020年4月 - 2023年3月