谷 大輝, 加藤 宏之, 浅野 之夫, 伊東 昌広, 荒川 敏, 志村 正博, 小池 大助, 越智 隆之, 神尾 健士郎, 河合 永季, 安岡 宏展, 東口 貴彦, 国村 祥樹, 堀口 和真, 永田 英俊, 近藤 ゆか, 加藤 悠太郎, 花井 恒一, 佐藤 美信, 堀口 明彦
癌と化学療法 50(8) 929-932 2023年8月
局所進行切除不能膵癌に対してFOLFIRINOX+放射線療法を行った後,conversion surgeryを施行した1例について報告する。症例は70歳代,女性。食後の腹痛を主訴に近医を受診し,腹部造影CTを撮影したところ,膵鉤部に上腸間膜動脈,第1空腸動脈,第2空腸動脈浸潤(>180°)を伴う不整形腫瘤を認めた。画像上,UR-LA(sm),cT4N0M0,cStage IIIの膵癌と診断され,mFOLFIRINOX 5コース施行した。その後,局所制御を目的として,放射線療法50.4Gy(三次元原体照射)を追加した。CA19-9は394.1U/mLから10.5U/mLへ低下した。治療効果はRECIST:partial responseと判定した。この後,根治術可能と判断し,初回治療から8ヵ月後に亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。腫瘍は3×2mm相当とごくわずかな範囲に認められ,pStage IA,R0,術前化学療法の治療効果判定はEvans Grade IIIであった。患者は術後5ヵ月無再発生存中である。(著者抄録)