研究者業績
基本情報
- 所属
- 藤田医科大学 医学部 小児科学 准教授
- 学位
- 博士(医学)(名古屋市立大学大学院医学研究科)
- J-GLOBAL ID
- 201501021354930009
- researchmap会員ID
- 7000013256
研究分野
1論文
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Genetics in Medicine 101165-101165 2024年5月
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小児内科 55(11) 1811-1815 2023年11月症例は5歳女児で、発熱、悪心、胸痛を主訴とした。砂遊びによる両手指の慢性湿疹に対して外用加療中であり、近医受診後も発熱が持続し、入院時には胸骨直上に辺縁不明瞭な発赤、腫脹を認め、CT検査で胸骨体の両側に低吸収帯を認めた。感染症の疑いで抗菌薬治療を開始し、血液培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が同定されたため、バンコマイシン(VCM)を併用した。その結果、解熱と胸痛の軽快が得られ、MRSAによる原発性胸骨骨髄炎と診断した。その後はCRP陰性化を確認してリネゾリド内服に変更し、VCMと併せて計6週間の抗MRSA薬による治療を行ったところ、炎症の再燃や血小板減少は認めなかった。本症例では手指の慢性湿疹が感染経路と考えられ、慢性湿疹を背景に持つ患児では薬剤耐性菌による全身性の感染症に留意する必要があると考えられた。
MISC
185-
特殊ミルク情報(先天性代謝異常症の治療) (57) 36-42 2022年2月全国の小児科診療施設へのアンケート調査を行いメチルマロン酸血症(MMA)の治療内容について検討した。大学病院小児科、小児病院、地域の主要病院等368施設に対して一次アンケートを実施し、症例ありと回答されたのは35施設で、メチルマロニルCoAムターゼ(MCM)欠損症75例、ビタミンB12反応性のコバラミン代謝異常症29例、病型不明7例であった。さらに二次アンケートを行い、計82例のMMA患者の臨床情報を得ることができた。平均発症月齢はMCM欠損症3.7±7.2ヵ月、コバラミン代謝異常症3.5±4.7ヵ月、病型不明1.6±3.2ヵ月といずれも乳児期早期の発症割合が高いことが示唆された。最も施行されていた治療はカルニチン内服で、MCM欠損症で54例(91%)、コバラミン代謝異常症で15例(83%)、次に自然タンパク制限で、MCM欠損症で50例(84%)、コバラミン代謝異常症で6例(33%)に行われていた。また、MCM欠損症では39例(85%)で食事のタンパク制限を施行していた。
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Influence of food on pharmacokinetics of 4-phenylbutyrate in patients with urea cycle disorders(和訳中)日本先天代謝異常学会雑誌 37 160-160 2021年9月
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小児科診療 84(2) 241-248 2021年2月●メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症は有機酸代謝異常症のなかでは頻度の高い疾患である。●新生児マススクリーニング(NBS)で治療を必要としない軽症例が多く発見されている一方、NBS施行前に発症する重症例や、NBSで即精査となり、初診時にすでに血液検査で代謝障害を示す異常所見を呈しており、対応を急ぐ症例も存在する。●発症例においても症例ごとの重症度により、食事療法の自然タンパク制限の程度は大きく異なる。●プロピオン酸血症では急性発症型、慢性進行型の病像を示さないまま、心筋症、不整脈などの症状が顕在化して診断される例の報告があるため注意が必要である。(著者抄録)
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PEDIATRIC BLOOD & CANCER 67 2020年12月
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小児科 61(10) 1394-1398 2020年9月<文献概要>先天的にガラクトースの代謝経路が障害されているガラクトース血症は,これまでその酵素障害部位によりI型,II型,III型が知られていたが,東北大学のグループらの検討により新規疾患としてIV型ガラクトース血症が報告された.これらは新生児マススクリーニングにより血中ガラクトース,ガラクトース-1-リン酸の高値を契機に診断されるが,現在,血中ガラクトースを測定している一般の検査機関はなく,マススクリーニング検査施設でのみ対応可能であるため,日常診療で本疾患を発見することは難しい.I型,II型では乳糖制限を継続する必要があり,I型では卵巣機能不全などの慢性期合併症にも注意が必要である.
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日本マス・スクリーニング学会誌 30(1) 27-33 2020年5月ビタミンB12(VitB12)は代謝産物であるアデノシルコバラミン(AdoCbl)がメチルマロニルCoAムターゼ(MCM)の補酵素であるため、VitB12摂取・腸管での吸収・輸送の諸段階の障害でMCMの活性低下をきたし、メチルマロン酸血症(MMA)を来す。また、母体疾患に伴うVitB12欠乏症では、新生児マススクリーニング(NBS)で児のプロピオニルカルニチン(C3)およびそのアセチルカルニチンに対する比(C3/C2比)高値が検出されることがある。我々はNBSでC3高値、C3/C2比高値を認め、母体からの移行抗内因子抗体により児の尿中メチルマロン酸排泄増加を来たした2例を経験したため報告する。2例とも精査時の血中VitB12は正常範囲であったが、尿中メチルマロン酸・メチルクエン酸の排泄増加、血漿中総ホモシステイン高値を認め、精査受診時にVitB12の内服を開始した。その後、母への詳細な問診の結果、両症例の母はともに悪性貧血の既往がある事が判明した。いずれの母もVitB12投与による治療歴を認めたが、治療中止後も貧血とVitB12低下を認めないことから、妊娠期に治療は継続されていなかった。両症例の母と児の抗内因子抗体を確認したところ陽性であった。両児のメチルマロン酸血症関連遺伝子検査では変異は検出されなかった。2例はそれぞれ生後1.5歳時、6ヵ月時に抗内因子抗体の陰性化を確認し、これらの結果より抗内因子抗体は母体由来の移行抗体であったと考えられた。血中ビタミンB12濃度が正常であっても、母体由来の抗内因子抗体による潜在的なVitB12欠乏の可能性を念頭に置く必要がある。我々はNBSにてC3・C3/C2比高値を示す児の母への詳細な問診の重要性を再認識した。(著者抄録)
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日本マス・スクリーニング学会誌 30(1) 35-41 2020年5月有機酸代謝異常症の新生児マススクリーニングは血中アシルカルニチンをフローインジェクション-タンデムマス(FI-MS/MS)法によって分析するため、イソ吉草酸血症の指標であるイソバレリルカルニチン(C5-1)と、ピボキシル基を含む薬剤の服用で生成するピバロイルカルニチン(C5-P)の様な異性体は区別できない。従って、C5アシルカルニチン(C5)高値の場合には、尿中有機酸分析などの特殊検査が必要となる。アシルカルニチンエステラーゼ(ACE、カイノス社)はアシルカルニチンを加水分解し遊離カルニチンを生成する酵素であるが、C5-Pの様に嵩高いアシル基を有するアシルカルニチンに対する活性が低い。この酵素活性の違いを利用し、イソ吉草酸血症の偽陽性の原因となるC5-Pの判別法を検討した。C5-1にACEを反応させると99%以上が加水分解されたが、C5-Pは全く加水分解されなかった。以上から、C5高値の検体をACEで処理後FI-MS/MS法によって分析し、C5のピークが消失した場合はイソ吉草酸血症の可能性が高く、ピーク強度に変化がない場合には薬剤の影響によるC5-Pの蓄積であると判定できる。この方法はスクリーニングで用いた検体を再利用しFI-MS/MS法で分析できるため、C5高値における2次検査法として有用である。(著者抄録)
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臨床薬理の進歩 (40) 131-139 2019年6月dihydropyrimidine dehydrogenase(DPD)欠損症患者のスクリーニング法として、肝臓におけるDPD活性と相関があるヒト末梢血リンパ球中DPDを用い、酵素反応後の生成物をUPLC-MS/MSで定量する方法について検討した。確立した定量法により、健常人9名と5-Fluorouracil(5-FU)投与患者17名のDPD活性を測定した。健常人のリンパ球を利用した酵素反応では、DHT生成量(平均値±標準偏差)は13.5±2.5pmol/4h/μg proteinであり、範囲は9.3〜15.7pmol/4h/μg proteinであった。重篤な副作用を呈しなかった5-FU投与患者群では、DHT生成量は7.2〜17.0pmol/4h/μg proteinとなり、DPD活性は正常平均値の53.3〜126.2%であった。健常人平均値の-2SD(8.5pmol/4h/μg protein)以下であった患者が2名存在したが、重篤な副作用は認めなかった。TS-1内服後にGrade 4以上の副作用を認めた1例では、DHT生成量は1.9pmol/4h/μg proteinで、DPD酵素活性が正常平均値の14.4%と有意に(Student's t検定、P<0.001)低値であった。DPD活性が50%程度であれば、5-FUの投与による重篤な副作用は発現しないと考えるが、症例数が少ないため活性と副作用発現の関連の評価には、引き続き患者データを集める必要がある。本研究で確立した患者リンパ球を用いたDPD活性測定は、5-FU投与前スクリーニングとして有用であり、さらに遺伝子検査によるDPYD多型解析とDPD活性測定を組み合わせることで、日本人における5-FU副作用発現をきたすDPYD遺伝子多型の基盤作りにつながると考えられた。
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日本マス・スクリーニング学会誌 29(1) 39-50 2019年5月重症複合免疫不全症(SCID)は致死的な先天性の免疫不全症であるが、T細胞の新生能の指標であるT-cell receptor excision circle(TREC)を用いた新生児マススクリーニングが一部の国で開始され、早期診断・治療により、死亡者数の低下、患児の生活の質の向上に貢献している。2017年4月より、愛知県内で出生した新生児を対象に、本邦初のSCIDスクリーニングを開始した。愛知県で出生し、保護者の同意が得られた新生児を対象とし、従来の代謝スクリーニング採血時にSCIDスクリーニング用に用意した専用の別濾紙への追加採取を行い、TRECを測定した。スクリーニング検査陽性新生児に対する精密検査は、リンパ球サブセット解析による免疫能の評価を行うとともに次世代シークエンサーによる300種類を超える原発性免疫不全症の原因遺伝子に対する網羅的な遺伝子解析を施行した。1年間で22,865人の新生児スクリーニングを行った。SCID患者は見出されなかったが、DiGeorge症候群、Wiskott-Aldrich症候群を含む11例のT細胞数減少症例を発見し、早期に治療を開始した。SCIDスクリーニングでは、非SCIDリンパ球減少症も多く見つかっており、精密検査体制の整備や診断後の治療体制の確立が重要である。(著者抄録)
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日本小児科学会雑誌 123(2) 280-280 2019年2月
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日本小児科学会雑誌 123(2) 280-280 2019年2月
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日本先天代謝異常学会雑誌 34 181-181 2018年9月
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JSBMS Letters 43(Suppl.) 140-140 2018年8月
書籍等出版物
2講演・口頭発表等
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15th International Symposium on Purine and Pyrimidine Metabolism in Man 2013年
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SSIEM (society for the study of inborn errors of metabolism) 2012 Annual Symposium 2012年
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Congress of China-Japan inborn error metabolism 2012年
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The 1st Asian Congress for Inherited Metabolic Diseases 2010年
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SSIEM (society for the study of inborn errors of metabolism) 2010 annual Symposium 2010年
共同研究・競争的資金等の研究課題
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 2022年4月 - 2025年3月
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AMED 橋渡し研究戦略的推進プログラム preC/シーズC 2021年6月 - 2024年3月
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AMED 橋渡し研究戦略的推進プログラム/シーズPre C 2020年8月 - 2021年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 2016年4月 - 2018年3月
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日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 2014年4月 - 2016年3月