石原 慎, 伊東 昌広, 浅野 之夫, 冨重 博一, 川辺 則彦, 永田 英俊, 古田 晋平, 荒川 敏, 伊藤 良太郎, 清水 謙太郎, 林 千紘, 神尾 健士郎, 河合 永季, 東口 貴彦, 堀口 明彦
胆と膵 39(3) 253-255 2018年3月
胆道癌取扱い規約第6版より、胆嚢癌の局所進展度はT1aとT1bに分類された。T1aは粘膜固有層への浸潤、T1bは固有筋層への浸潤を認めるものである。T1aの治療方針は、通常リンパ管侵襲、血管侵襲、リンパ節転移を認めないため胆嚢摘出術で問題ない。T1bの治療方針は、2017年に報告された2編のmeta解析の結果では、肝切除を伴った拡大胆嚢摘出術をすべきであるとの報告と胆嚢摘出術でよいとの報告がある。リンパ節郭清については、連続切片で検討した、2編の報告ではリンパ節転移を認めず、胆道癌取扱い規約第6版で規定された所属リンパ節郭清は必要はない。T1胆嚢癌に対する腹腔鏡手術は、現時点では推奨されず、原則として開腹胆嚢摘出術を行うべきである。腹腔鏡手術に対する質の担保された研究が、近年、少数ではあるが報告されてきており、今後の大規模な研究が待たれるところである。(著者抄録)