栃井 将人, 須田 隆, 服部 良信, 根木 浩路, 杉村 裕志, 金子 完, 近藤 ゆか, 渡邉 浩次, 入山 正, 安藤 太三
日本呼吸器外科学会雑誌 16(5) 670-674 2002年7月
46歳男.右胸部痛で近医に右S4の異常陰影を指摘され紹介入院した.CTで右S4aに腫瘤陰影を認め,A4aの巻き込みと胸膜陥入像から原発性肺腺癌を疑った.喀痰細胞診,気管支鏡下肺生検では異型細胞は認めず,擦過細胞診で異型細胞を孤立性,散在性に認め,肺腺癌と診断し,手術を施行した.右上中葉切除,右下葉部分切除,胸壁・第4,5肋骨合併切除を行った.病理検査では異型細胞は認めず,膿瘍形成と広範な器質化肺炎像,肋骨周囲の線維性胸膜炎像を認め,炎症細胞内にII型肺胞上皮細胞を少数認めて肺膿瘍と診断された.細胞診のみで異型細胞を認める場合には偽陽性を否定できず,繰り返し細胞診・組織診を行うか,術中迅速組織診を行う必要があると思われた