今村 繁夫, 牧野 真樹, 伊藤 靖敏, 小野 保長, 山本 恵子, 加藤 大也, 藤原 健太郎, 早川 伸樹, 鈴木 敦詞, 澤井 喜邦, 織田 直久, 伊藤 光泰
ホルモンと臨床 51(夏季増刊) 55-58 2003年7月
86歳女.主訴は浮遊感,味覚障害.満月様顔貌,中心性肥満,高血圧,低カリウム血症を指摘され,また,尿中17-OHCS排泄量の増加があり,クッシング症候群が疑われた.内分泌学的検査にて血中ACTH値の軽度上昇,血漿レニン活性の低下,尿中コルチゾール及び17-OHCS排泄量の増加を認めた.下垂体MRIにてemptysella,その他画像検査にても異常はなく,ACTH産生部位は特定できなかった.経過中に,血中及び尿中コルチゾール,尿中17-OHCSが正常化したため,周期性クッシング症候群と診断された.その後,ACTH,コルチゾールの異常高値のため,サンドスタチンを投与したところコルチゾールの値は正常化した.外来通院のためオペプリムの内服に変更し,以後,入退院を繰り返しながら外来加療された.しかし経口摂取困難となり,敗血症にDICも併発し死亡した.剖検にて,下垂体にごく微小の腺腫様構造(ACTH染色陽性)が認められた