大越 真紀子, 北本 憲永, 神谷 典男, 小出 昌秋
体外循環技術 33(1) 12-15 2006年3月 査読有り最終著者
無輸血・無希釈体外循環目的で,体外循環開始時にReduced Priming(RP)+Retrograde Autologous Priming(RAP)+Modified Ultrafiltration(MUF)を施行した14例(RAP群)を,RP+RAP未施行の15例(C群)と比較した.開始時充填液量は,RAP群244.3±131.2ml,C群729.2±108.1mlであった.ヘマトクリット値(Ht),総蛋白値,血小板数は,C群に比べていずれもRAP群は高値であった.そのうち,Htは,人工心肺前,MUF後の両群に有意差はみられなかったが,人工心肺開始5分後はRAP群34.1±6.7%,C群27.4±2.9%,離脱時はRAP群32.0±4.7%,C群27.7±4.6%で,両群間に有意差を認めた.術中水中バランスは,人工心肺前はRAP群1030.8±588.5ml,C群731.1±277.9ml,人工心肺中はRAP群-103.1±515.8ml,C群-199.3±114.7mlで,各々に有意差を認めた.無輸血率は,ICU帰室後,RAP群72%,C群33%であった.RP,RAP,MUFにより,希釈液量の減少,無輸血率の向上が可能になったと考えられた