近藤 宏樹, 多屋 馨子, 天羽 清子, 乾 あやの, 笠原 群生, 鈴木 光幸, 田中 孝明, 津川 毅, 別所 一彦, 保科 隆之, 宮入 烈, 虫明 聡太郎, 吉川 哲史, 齋藤 昭彦, 塚原 宏一, 森岡 一朗, 須磨崎 亮, 細矢 光亮, 日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会原因不明の小児の急性肝炎対策ワーキンググループ
日本小児科学会雑誌 127(7) 1033-1038 2023年7月
2022年より欧米から「原因不明の小児急性肝炎」について多くの報告があがるようになり、アデノウイルスや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行との関連が疑われている。これまで本邦では小児の急性肝炎のサーベイランスが行われていないことから、今回、日本小児科学会会員が所属する全国の病院小児科責任者を対象に、2017年1月~2022年6月までの期間における同疾患の実態について質問紙調査を行い、947名より回答を得た。その結果、COVID-19流行前の報告数は2017年260名、2018年257名、2019年243名で、COVID-19流行中の報告数は2020年164名、2021年192名、2022年1~6月で113名と、COVID-19流行中の方が少ない傾向がみられた。COVID-19流行前は0歳および1~4歳群の症例数が他の年齢群と比較して多い傾向がみられたが、流行中はこれらの年齢群で減少が著明であった。地域別では、COVID-19流行前・流行後ともに、京都府・愛知県・福島県からの報告が多かった。