山下 千鶴, 久保 章, 外間 之貴, 仙波 和記, 矢野 雅起, 新田 賢治
ICUとCCU 26(別冊) S242-S244 2002年2月
64歳男.近医にて左下肢の壊死性筋膜炎,ショック,急性腎不全と診断され救急搬送された.来院時,意識は譫妄状態,全身チアノーゼ,左下腿外側から後面に地図状皮膚壊死があり,水疱が散在し一部は腐敗臭を放っていた.直ちに気管挿管後,大腿切断が必要と判断,手術室にて大腿外側に遠位から皮膚切開を加えたところ皮下組織は融解壊死しており,発赤部位から判断して壊死組織の全切除は不可能と判断し,筋膜切開のみを施行した.術中からCHDFを施行し,ICUに帰室後,DICに対しメシル酸ナファモスタット,多臓器不全に対しCHDFを継続した.第3病日に水疱液培養でE.faecalis,E.coli,嫌気性グラム陰性桿菌が,血液培養でも嫌気性グラム陰性桿菌が検出されたため抗生剤を変更した.同日より血圧は徐々に上昇,発赤も縮小し始め,第6病日にPMXを追加,翌日左股関節離断術を施行した.ICU帰室後,PMXを施行,CHDF,抗生剤,γグロブリン,メシル酸ナファモスタット投与を継続した結果,第14病日にはICU退室となった