奥野 友紀, 川村 真紀子, 加藤 治実, 小園 千草, 平賀 元美, 三吉 友美子
医学と生物学, 163(2) 1-10, May, 2023
背景:コロナ禍により、遠隔授業など教育方法が変更された。それに伴い、看護技術の学び方は変化したのではないかと推察する。本研究では、コロナ禍における看護学生の看護技術学習方略の実態を明らかにすることを目的とする。方法:2021年7月に、紙媒体もしくはWebによる無記名の質問紙調査を実施した。対象は、東海地方の看護系大学5校に所属し、入学後の全期間をコロナ禍で過ごす1・2年次生824名とした。調査内容は、看護技術学習方略尺度(以下、NSLSS)とした。結果:465名を分析対象とした(回収率58.0%、有効回答率97.3%)。NSLSS得点の中央値は4.24点、最小値は1.12点、最大値は6.00点であった。下位尺度得点の中央値は4.00~4.50点、最大値は全て6.00点、最小値は「計画・調整」が1.25点、「認知的志向」「ピア学習」「情動調整」が1.00点であった。学年別のNSLSS得点の中央値は、1年生が4.18点、2年生が4.29点であり、有意差はなかった。結論:NSLSS・下位尺度得点の中央値は、先行研究とほぼ同じであった。しかし、「ピア学習」と「認知的志向」を全く使用しない者が存在したことから、コロナ禍の影響により、学習方略の使用において個人差が大きくなることが示唆された。また、1年次生よりも2年次生の方が、コロナ禍の影響が大きいと考えたが有意な違いはなかった。(著者抄録)