【背景】Congenital anomalies of kidney and urinary tract(CAKUT)は腎不全に至る先天異常である。近年CAKUTに対して早期介入することで腎不全までの時期を延ばした報告が散見されており、CAKUT患者の早期発見は重要視されている。本邦ではCAKUT早期発見のために3歳児検尿を行っているが、実際にはCAKUT児の10%しか発見できていない。我々は新生児タンデムマススクリーニングの手法で、腎機能評価の指標として用いられているクレアチニン(Cr)を測定する方法を検討した。【方法】検体の抽出方法は現行の新生児マススクリーニングの手法に従った。Crの定量はD3-Crを用いて内部標準法で行った。実際に新生児検体190検体を用いて、新生児濾紙血Crの基準値作成を行った。【結果】小児93検体で、単回帰解析を行ったところ濾紙血Cr(mg/dL)=0.56×血清Cr(mg/dL)(R=0.92)で良好な相関を認めた。新生児190例で測定したところ濾紙血Cr 0.222mg/dL(IQR:0.189、0.268)であった。性別、在胎週数、出生体重、Apgar scoreによる差は見られなかった。【結語】乾燥濾紙血を用いた新生児のCr測定法を確立した。本手法は現行のマススクリーニングをベースに構成されており、実際の運用も可能であると考える。(著者抄録)