大和田 操, 三戸 節子, 小沼 敏二, 塚田 定信, 佐藤 智英, 青木 菊麿, 木下 和子, 芳野 信, 渡辺 順子, 伊藤 哲哉, 大浦 敏博, 吉岡 章, 碓井 ひろみ
特殊ミルク情報(先天性代謝異常症の治療) (46) 44-51 2010年11月
2004および2005年度に施行したメープルシロップ尿症(MSUD)アンケート調査で得られたMSUD患者5例(女・9〜22歳)の食事記録を基に、栄養計算および摂取量評価を行った。同年齢の食事摂取基準における生活活動強度Iのエネルギー摂取量と比較すると、5例中4例がこれを満足していた。三大栄養素の摂取比率は、脂質比は基準範囲であったが、たんぱく質摂取比はいずれも10%以下と低く、炭水化物比は高かった。MSUD患者が摂取している窒素を含む栄養素は、分枝鎖アミノ酸を除くアミノ酸を混合した治療乳と、許容量のロイシン(Leu)を含む自然たんぱく質の総和であるが、対象の5例では治療乳から摂取するたんぱく質代替物由来の窒素が60〜77%を占めていた。たんぱく質摂取量が同年齢女子の推定平均摂取量を満足していたのは2例で、推奨量に達している例はなく、Leu摂取量も少なかった。ミネラル類およびビタミン類の摂取量は、殆どの摂取量が食事摂取基準による年齢別基準を満足していた。