前田 徹, 長谷川 信策, 鷲見 聡, 植田 昭仁, 伊藤 哲哉, 大久保 由美子, 戸苅 創, 黒野 幸久
APJHP: 愛知県病院薬剤師会雑誌 33(1) 32-36 2005年6月
Inosine triphosphate pyrophosphohydrolase(ITPase)は,Inosine triphosphate(ITP)をInosine monophosphate(IMP)とピロリン酸に加水分解する酵素で,現在までに,ITPAの遺伝子構造と,白人における5つの変異部位が報告されている.日本人100例を対象とし,ITPaseの酵素活性およびITPA遺伝子における酵素活性に影響を与える2つの変異,94C>A,IVS2+21A>Cの頻度について調査した.さらに,日本人におけるITPase酵素活性と二つの変異との相関について検討した.ITPase活性は二峰性の分布を示した.酵素活性がゼロであった3例は赤血球中に異常なITPの蓄積を伴い,94C>Aのホモであった.酵素活性の低いグループは94C>Aのヘテロであった.酵素活性の分布は94C>Aの遺伝子型と良好な相関を示した.94C>Aの頻度は0.155で,白人の約2.6倍と高値であった.IVS2+21A>Cの変異は日本人には見られなかった