戸原 玄, 和田 聡子, 三瓶 龍一, 井上 統温, 佐藤 光保, 飯田 貴俊, 鰕原 賀子, 岡田 猛司, 島野 嵩也, 石山 寿子, 中川 量晴, 植田 耕一郎
老年歯科医学 = Japanese journal of gerodontology 26(2) 78-84 2011年9月30日
超高齢社会である日本では摂食·嚥下障害への対応は急務であるため, 簡便な評価方法が過去に複数考案されてきた。ただし, いずれの評価方法も嚥下もしくは咳反射の有無や可否などを観察するものであり, 嚥下の強さの判定を目的とする簡便なテストはなかった。嚥下時に収縮する舌骨上筋のうち複数の筋肉が開口筋であることに着目して, 嚥下機能の評価を目的として開口力測定器を作成し, 基礎的なデータを採取するために平均年齢44.7±12.6歳, 64名の健常者に対して開口力の測定を行った。対象者全員の開口力の平均は約8 kg, 男性は約10 kg, 女性は約6 kgであり, 男性の筋力が有意に高いが年齢との開口力の相関は認められず, 過去に報告された結果とも同様の数値が得られた。また, 身体他部位の筋力である握力と開口力は有意に相関したことからも, 開発した筋力計を用いて有効な評価ができていると考えられた。また, 健常な60代の舌骨上筋には加齢に伴う筋力低下がみられなかった。