齋藤 將也, 吉岡 陽子, 石原 直子, 高屋 茜, 額賀 沙季子, 若松 侑子, 鈴木 崇公, 本田 理貢, 近藤 麻奈美, 石田 千晴, 榊原 嘉彦, 北野 理絵, 遠藤 誠一, 白井 謙太朗, 宮井 俊輔, 倉橋 浩樹, 青井 裕美, 水口 剛, 松本 直通, 浅田 義正
日本遺伝カウンセリング学会誌 44(3) 69-76 2023年10月
Joubert症候群は非常に稀な常染色体潜性遺伝形式をとる神経疾患であり,根本的治療はなく,患者は長期療養を要する。本邦において,本疾患に対して単一遺伝子疾患に対する着床前遺伝学的検査(preimplantation genetic testing for monogenic:以下,PGT-M)を実施した報告はない。本邦ではPGT-Mについての情報が整備されているとは言えず,遺伝性疾患の患者や家族,主治医がPGT-Mの情報を得る機会が限られており,患者を含む当事者はPGT-Mの選択肢を知らないまま検討の機会を逸している場合も多いと想定される。国内でPGT-Mの実施を議論された症例の情報が共有されれば同じ疾患の当事者カップルが妊娠を計画する際に重要な情報となる。今回,われわれはJoubert症候群の児をもつTMEM67病的バリアント保因者カップルに対して本邦初のPGT-Mを実施したので報告する。(著者抄録)