荒木 俊光, 大北 喜基, 廣 純一郎, 問山 裕二, 大井 正貴, 田中 光司, 井上 靖浩, 毛利 靖彦, 楠 正人
日本腹部救急医学会雑誌 34(5) 929-933 2014年7月
【目的】緊急・準緊急手術の成績から,術後重篤合併症発生に関連する因子を検討した。【方法】当科で手術が施行された16歳以上の潰瘍性大腸炎249例のうち,緊急・準緊急手術が施行された28例を対象とした。Clavien-Dindo分類Grade IIIa以上を重篤合併症とした。【結果】28例中術後重篤合併症は9例(32.1%)に認めた。重篤合併症発生群は非発生群に比し,術前の心拍数が有意に大きく(107±19 vs. 84±13/分,p=0.018),血清Ch-Eが有意に低値(65±33 vs. 111±55 IU/L,p=0.013)であった。一方で性別,年齢や他の全身状態の指標,あるいは術前重症度や術前治療,手術方法,および他の検査成績との有意な関連は認められなかった。【結論】潰瘍性大腸炎において,緊急・準緊急手術後の重篤合併症発生には栄養や全身状態が影響を与えることが示唆された。(著者抄録)