海江田章, 石川隆志, 山内章弘, 豊崎正人, 三澤健治, 榊原未和, 石川正敏, 杉森美幸, 山本賢, 服部良信, 伊藤康宏, 渡邉浩次, 井平勝, 日比谷信
体外循環技術 31(4) 405-407 2004年8月 査読有り
【要旨】ビスフェノールA(BPA)は,内分泌撹乱化学物質として指摘されている化学物質の1つである。BPAは,エポキシ樹脂やポリカーボネート樹脂の主原料であり,体外循環回路はじめ医療用具に広く使用されている。今回,開心術を施行した成人症例で,CPBを行った24例とOPCAB4例を対象に血中BPAの測定を行った。測定は麻酔導入直後,CPB復温直前(OPCABでは,予定吻合数の半数終了時),硫酸プロタミン投与後15分の3点でサンプリングを行い,CPB症例におけるCPB時間,体温,コーティング回路の有用性,OPCAB症例とCPB症例とにおけるBPA溶出の比較について検討を行った。BPAの溶出は,血液の回路との接触時間,接触面積により増加することが示唆された。また,コーティング回路を使用してもBPAの溶出は抑制困難であると考えられた。今回,CPB回路使用による明らかな血中へのBPA溶出は確認できたが,どの材料からの溶出であるかは確認できておらず,今後の課題である。