今津 浩喜, 落合 正宏, 船曵 孝彦, 丸上 善久, 桜井 洋一, 二渡 久智, 松原 俊樹, 長谷川 茂, 菅沼 正司, 森下 浩, 黒田 誠, 溝口 良順
日本臨床外科医学会雑誌 56(10) 2058-2061 1995年
45歳女性,乳房腫瘤を自覚し当院を受診,左乳房A領域に無痛性孤立性の腫瘤を触れ,超音波検査では辺縁ほぼ整,内部はほぼisoechoic massを,乳腺撮影でも淡く球状,辺縁もsmoothなtumorを認めた.病理組織上,摘出標本は1.5×1.2cm大で,割面は乳白色調で硬く,弱拡大像で,被膜形成を認めない比較的境界不鮮明な限局性の腫瘍が既存の腺管をやや周辺に圧排し,強拡大像では腺管周囲及び間質に平滑筋束あるいは神経束様の構造がみられたが,腺管自体には二相性が明らかで,腺管及び周囲の細胞とも細胞学的な核異型や核分裂像は認められなかった. muscle-actin, α-smooth muscle actin染色では腺管周囲の腫瘍細胞の細胞質に強陽性であった.以上より平滑筋上皮細胞の増殖を主体とした限局性腫瘍でありmuscular hamartomaと診断した.