芳野 純治, 乾 和郎, 若林 貴夫, 片野 義明, 小林 隆, 三好 広尚, 小坂 俊仁, 友松 雄一郎, 山本 智支, 松浦 弘尚, 成田 賢生, 鳥井 淑敬, 森 智子, 細川 千佳生, 黒川 雄太, 安江 祐二
胃と腸 50(1) 27-38 2015年1月
本誌における早期胃癌に対する診断の歩みを以下の事項について簡潔に述べた.すなわち,胃癌のスクリーニング法はX線検査から内視鏡検査に移行したが,内視鏡検査はがん検診では死亡率減少効果という点で現在のところ有用性は明らかにされていない.深達度診断はM・SMの鑑別から,SM1の診断が求められるようになったが,現在のところ困難である.範囲診断では従来の検査に加えて画像強調内視鏡が用いられるようになりより詳細な画像が得られるようになったが,病理学的な対比が困難なため拡大所見の解析が十分に行えないが,今後の進歩が期待される.早期胃癌はより小さい病変,微細な所見の病変が増加しており,さらに,Helicobacter pylori感染が減少しており,癌の所見の変化に注目する必要がある.(著者抄録)