小林隆, 芳野純治, 若林貴夫, 乾和郎, 奥嶋一武, 三好広尚, 中村雄太, 神谷直樹, 内藤岳人, 木村行雄, 野村幸伸, 服部信幸, 近石敏彦, 服部昌志, 鎌田倫子, 小坂俊仁, 中井喜貴, 塩田國人, 三沢大介, 友松雄一郎, 藤本正夫, 杉山和久, 渡辺真也, 高島東伸
日本消化器がん検診学会雑誌 44(3) 283-291 2006年
集団検診において発見された胃食道逆流症(GERD),特に内視鏡陰性GERD(NERD)に関して検討した.対象は上部消化管内視鏡検査を行った691例(男性526例,女性165例・平均年齢52.6歳)で,検査前にQUESTを含めた問診票の記入を依頼した.検査結果は逆流性食道炎84例(12.2%),異常なし389例(57.7%),その他218例(30.1%)で,異常なし・その他のうち胃・十二指腸潰瘍などの酸分泌関連疾患を除いた405例中NERDは42例(10.4%)であった.逆流性食道炎では,重症度分類がGrade A 59例,B 18例,C 7例と比較的軽症例が多く,QUEST 4点以上が59例(70.2%),胃粘膜萎縮の程度はClosed typeが78例(92.9%),食道裂孔ヘルニアの合併が57例(67.9%)といずれも逆流性食道炎以外の症例に比し有意に多かった.ロジスティック回帰による多変量解析では,食道裂孔ヘルニアの合併・軽度の胃粘膜萎縮・男性・BMI25以上が逆流性食道炎の発症に影響し,52歳以下・女性・喫煙がNERDの発症に関連していた