芳野 純治, 乾 和郎, 若林 貴夫, 奥嶋 一武, 小林 隆, 三好 広尚, 中村 雄太, 三戸 隆, 江藤 奈緒, 野村 幸伸
日本高齢消化器医学会議会誌 3(2) 110-114 2001年10月
対象は大腸の部分切除が行われていない大腸X線検査例471例で,大腸憩室の有無,憩室の部位と数,食事内容や肥満度と憩室の関係について検討した.その結果,大腸憩室は34.6%に認め,年齢と共に増加し,70歳以上(高齢者)では46.7%と非高齢者より多く認めた.憩室の合併率を領域別に比較すると,直腸・S状結腸・行結腸(RSD)では年齢と共に増加し,高齢者が有意に増加した.横行結腸・上行結腸・盲腸(TAC)でも年齢と共に増加したが,40歳代で29.1%に憩室を認め,又,各年代ともに約30%認めた.RSDとTACの両領域に憩室を認める例は高齢者で15%と,非高齢者より多かった.5個以上の憩室を有する例の割合は憩室を有する例の67.5%を占め,RSDでは60歳未満には殆ど認めなかったが,60歳以上では10%以上に増加した.一方,TACでは30歳代で10%に達し,その割合は継続した.食事内容や肥満度と憩室には関係が見られなかった