村上和隆, 下郷紗智子, 西冴子, 佐々木万祐, 高橋弘樹, 高橋和男, 春日井雅美, 浅野慎介, 長谷川みどり, 富田亮, 鍋島邦浩, 比企能之, 杉山敏, 堀秀生, 大橋篤, 日比谷信
腎と透析 59(別冊 ハイパフォーマンスメンブレン'05) 238-240 2005年10月31日
各種透析器から溶出するビスフェノールA(BPA)を測定し,さらに血液透析患者血中のBPAの蓄積について検討した.ポリメチルメタクリレート透析器(PMMA),ポリスルフォン透析器(PS),セルローストリアセテート透析器(CTA),セルロース透析器(Ce),ポリエステルポリマーアロイ透析器(PEPA)を対象とした.血液透析患者17例を対象とし,BPA血中濃度を測定した.PSとCeを1ヵ月ごとのクロスオーバーで使用し,透析前後の血中濃度を測定した.すべての中空繊維からBPAの溶出を確認した.特に,PSとPEPAは,他の中空繊維に比し多量のBPAを検出した.PSを使用した場合,血中のBPA濃度は有意に上昇したが,Ceを使用した場合,有意な変化を認めなかった.CeとPSの1ヵ月ごとのクロスオーバー試験では,透析前の血中のBPA濃度はPS使用時がCe使用時に比し有意に高値であった.BPAの蓄積は血液透析患者の内分泌系や,代謝系に影響を与えている可能性が示唆された