伊藤 浩明, 佐藤 さくら, 宇理須 厚雄, 漢人 直之, 中川 朋子, 柘植 郁哉, 近藤 康人, 伊藤 節子, 東浦 匡仁, 海老澤 元宏
アレルギー, 65(1) 48-56, Feb, 2016
【背景・目的】全自動型好塩基球ヒスタミン遊離試験(アラポートRHRT)における自然ヒスタミン遊離率(SHR/T)及びlow responderについて検討した.【方法】鶏卵,牛乳,小麦の経口負荷試験を施行した101人(負荷陽性79人)を対象として,SHR/Tとの関連を解析した.また,従来のlow responder(27人)を,抗ヒトIgE刺激によるヒスタミン遊離率が濃度依存性であり,その最大ヒスタミン遊離率が10%以上を示す"LOW"responder(10人)と,その条件を満たさない"NON"responder(17人)に分類して,その意義を検討した.【結果】SHR/T≧20%を示す34人中32人(94%)が負荷陽性であり,負荷試験の結果も低閾値で強い誘発症状を認めた.今回定義した"LOW"responderの中で,4人はアレルゲン特異的最大ヒスタミン遊離率も10%以上を示した.一方,"NON"responderでは,濃度依存的なヒスタミン遊離曲線が得られず,好塩基球の機能を検出できていないものと考えられた.【結語】SHR/Tは,生体内での好塩基球の活性化や過敏性の指標となることが示唆された.また,"LOW"responderは,弱いながらも有意な好塩基球の機能を検出しており,"NON"responderと区別する価値のあることが示唆された.(著者抄録)