安藤 仁志, 徳田 玲子, 森田 豊, 和田 映子, 近藤 康人, 宇理須 厚雄, 山田 一恵, 松田 幹
日本小児アレルギー学会誌 13(1) 43-49 1999年3月
Ovomucoid(OM),ovalbumin,ovotransferrin,lysozyme及びOMのthird domain with carbohydrate chain(D3CHO),third domain without carbohydrate chain(D3)の特異的IgE抗体価を測定した.卵白に対する特異的IgE抗体高値の患児32名に二重盲検法による卵白経口負荷試験を行い即時型過敏反応(IHR)陽性群と陰性群に分け検討した.卵白成分の中でOM特異的IgE抗体価は,IHR陽性群が陰性群に比し高値の傾向にあった.またsensitivity,specificity,accuracyは89.5%,30.7%,65.6%で他の成分に比し良好であった.一方,D3CHO,D3の特異的IgE抗体価では,IHR陽性群が陰性群に比し有意に高値であった.sensitivity,specificity,accuracyはD3CHOでそれぞれ89.5%,92.3%,90.6%,D3では94.7%,69.2%,84.4%でOMに比し良好であった.以上からD3CHO,D3に対するIgE抗体価を測定することは,卵白によるIHRの診断により有用であることが示唆された