安藤 仁志, 宇理須 厚雄, 徳田 玲子, 森田 豊, 和田 映子, 近藤 康人, 矢崎 雄彦
日本小児アレルギー学会誌 12(4) 307-312 1998年12月
アトピー性皮膚炎の患児30名(平均年齢4.6,男16名,女14名)の病変部位(湿潤部位,苔癬化部位)と非病変部位について,黄色ブドウ球菌の検出を行い検討した.病変部位と非病変部位とで有意差が見られたのは黄色ブドウ球菌の検出率及びコロニー数であった.しかしコアグラーゼ型,エンテロトキシン型,MRSAの検出率は皮疹により有意差はなかった.また同一患者で皮疹が異なっても採用される黄色ブドウ球菌の型が一致している症例は27例と多かった.すなわちアトピー性皮膚炎の病変形成に黄色ブドウ球菌のコロニー数が重要な因子である事が示唆された.またこの事は皮膚表面に付着する菌数が増加すれば,それに伴って黄色ブドウ球菌の産生するエンテロトキシンなどのスーパー抗原も増加する事から,これらの因子がアトピー性皮膚炎の皮疹の増悪に関与している事が推測された