薄田 勝男, 高橋 里美, 半田 政志, 羽隅 透, 佐藤 伸之, 千田 雅之, 佐々木 寛, 星川 康, 桜田 晃, 佐藤 雅美, 佐川 元保, 斎藤 泰紀, 藤村 重文
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery 13(1) 2-9 1999年
原発性肺癌2,632例の中で非治癒切除は578例 (22%) であったが, その内5年以上生存した56例 (9.7%) (A群) の臨床病理学的特徴を検討した.さらに, 非治癒切除に終わった全578症例 (B群) と比較した.5年以上生存した絶非治切18例の診断根拠は, 気管支断端陽性9例, 悪性胸水5例, 胸膜播種2例, 癌遺残2例で, 重複を認めなかった.5年以上生存した相非治切38例の診断根拠は, 肺葉切除かつR1郭清9例, 部分区域切除もしくは肺葉切除かつRO郭清21例, R2b郭清かつ第2b群リンパ節転移陽性8例であった.合併切除部位は, 心膜・胸壁・左房および壁側胸膜であり, 大血管・横隔膜・食道浸潤例はなかった.A群はB群に比較し, T3・T4例およびN2例が少なく, D0症例が多かった.非治癒切除長期生存例の多くは, 非治癒切除例において比較的進行していない症例群であった.相非治切長期生存例の中には, 部切・区域切除もしくはRO・R1郭清で根治できた症例がみられた.