伊藤 瑞規, 熱田 直樹, 渡邉 宏久, 平山 正昭, 祖父江 元
脳と神経 57(6) 491-494 2005年6月
パーキンソン病(PD)の妄想に対するolanzapineの有用性を検討した.対象は,妄想で入院加療中のPD患者9例(男性3例,女性6例・平均66歳)で,平均罹病期間は11.9年,平均L-dopa使用量555mg/日であった.5例にquetiapine 25〜50mg/日を,4例にolanzapine 0.625〜5mg/日を初期投与し,妄想の改善まで漸増した.その結果,Quetiapine投与の5例中2例は各々25mg,50mg/日の少量投与で幻視・妄想の改善,消失を認めた.3例は300mg/日まで増量したが改善は得られず,全例,パーキンソニズムの悪化や高血糖は認めなかった.Olanzapine投与の4例は全例初期投与量で幻視・妄想が改善,消失した.Quetiapine無効の3例にolanzapineを投与し,2例で妄想が著明に改善したが,幻聴・幻視は消失しなかった.1例は少量投与でも著明なパーキンソニズム悪化で投与を中止した.以上,Quetiapine無効の妄想に,olanzapineは試みるべき薬剤と考えられた