高橋正幸, 岩田洋平, 有馬豪, 佐々木良輔, 鶴田京子, 久岡正典, 黒田誠, 松永佳世子
Skin Cancer 27(3) 339-344 2012年
42歳,男性。初診の7年前から腹部に皮下結節が出現し,徐々に増大した。当科初診時,腹部に17×16×9cm大の紅色で弾性硬のカリフラワー状に隆起した広茎性巨大腫瘤を認めた。腫瘍表面は自壊し,潰瘍と壊死を認め,易出血性で悪臭を伴っていた。MRI画像所見では,腫瘍深部は腹直筋との境界が一部不明瞭であったため,腫瘍茎部辺縁より水平方向は5cm離し,深部は腹直筋前鞘を含めて切除し,メッシュ植皮術を施行した。全摘標本では腫瘍全体の約7割はCD34陰性の紡錘形の腫瘍細胞がherringbone patternを呈しており,残りの3割がCD34陽性の紡錘形の腫瘍細胞でstoriform patternを呈して増殖していた。腫瘍組織において,変異遺伝子を検索したところ,COL1A1-PDGFB融合遺伝子が検出された。以上から線維肉腫様変化を伴った隆起性皮膚線維肉腫と診断した。術後1年2ヵ月経過したが,明らかな再発や転移を認めていない。