藤井 正人, 太田 一郎, 菅澤 正, 水町 貴諭, 水田 啓介, 倉富 勇一郎, 大月 直樹, 鈴木 真輔, 家根 旦有, 齊藤 祐毅, 加藤 久幸, 平野 滋, 大上 研二, 下出 祐造, 小川 武則, 安松 隆治, 永澤 昌, 早川 広史
頭頸部癌, 44(1) 18-22, Apr, 2018
頭頸部癌基礎研究会参加施設で2014年5月から2016年3月までに放射線療法を中心に施行するStage III/IVの中咽頭癌症例に関して集学的治療効果を検討した。全国18施設から92例が登録された。PCRでは65例(71%)にHPV陽性であった。症例の内訳では喫煙歴の有無で有意差はなく飲酒歴の有無ではHPV陽性で飲酒歴無しの割合が多く有意差がみられた。登録終了後1年の予後調査で一次治療効果について検討した。一次治療で完全奏効(CR)と判定された症例のうち治療開始から1年以内に再発、転移した症例を除外したCR症例の割合では、HPV陽性例では65例中60例で治療成功CRとなり一次治療成功割合は92.3%となった。一方、HPV陰性例では26例中、治療成功CRは15例で57.7%であった。HPV陽性例に対して化学放射線療法の効果は高く、セツキシマブ併用放射線療法(BRT)でも十分な効果を示している。また、導入化学療法(IC)が奏効してRT単独症例においても全例CRとなっている。これらの結果は今後、HPV陽性例に対して治療強度を下げた臨床試験を検討する場合に参考となると考えられる。(著者抄録)