maeshima shinichiro

50歳代男。嘔吐と意識障害で発症した。もやもや病によるくも膜下出血と診断され、保存的治療を受けた。第11病日に脳血管攣縮により右側頭頭頂後頭葉に脳梗塞を発症して言語症状が出現した。理解が比較的良好で、自発話は流暢であるものの表出面全てにおいて音韻性錯語を認め、その修正行動もあったことから、伝導失語を呈していると考えた。発症1ヵ月後の評価では、自発話では錯語が減少した。呼称は、音韻性錯語の出現頻度は増加したが、初回では喚語困難のために無反応であったものが喚語されるようになった結果であった。また、音韻性錯語となっても、それらすべてにおいて自己修正後に正答可能となった。復唱は、有意味語は4モーラまで可能となったが、無意味語は依然として2モーラまでで、有意味語との差が明確となった。書字は、錯書が減少して文レベルの書字も可能となった。