田中 靖人, 荻野 眞孝, 徳田 泰司, 水野 眞, 山内 学, 飯島 祥彦, 服部 孝平, 加藤 孝宣, 小松原 祐子, 加藤 秀章, 小林 克巳
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology 93(11) 828-836 1996年11月5日
著明な増大傾向を示し腹痛などの症状を呈した肝嚢胞10例11病変(平均最大径12.6cm)に対して,原則として塩酸ミノサイクリン(以下MINO)500mgを経皮経肝的に嚢胞内へ1回注入し(one puncture method),嚢胞液pHと治療効果との関連性について検討した.11病変中9病変(82%)で治療3カ月後の腹部CTにて嚢胞の最大径が50%以上縮小し,また特に重篤な副作用はみられず,本法は安全かつ簡便で有用な治療法であると考えられた.今回の検討では,嚢胞液pHの低下率と治療効果との間には有意な相関関係は認められず,嚢胞上皮細胞の傷害には,嚢胞液pH以外にMINOの細胞毒性の関与が示唆された.