小出 滋久, 藤井 幹子, 村瀬 正光, 浅野 慎介, 曽我 栄子, 芳川 博人, 鳥羽 貴子, 朝田 啓明, 久志本 浩子, 勝又 秀樹, 村上 和隆, 長谷川 みどり, 富田 亮, 長谷川 寛, 鹿野 昌彦, 杉山 敏, 川島 司郎, 大橋 篤, 椎野 由裕, 深谷 忍
藤田学園医学会誌 25(1) 67-73 2001年9月
腎機能正常な貧血のない健常者50例と血液透析歴3ヵ月以上の通院血液透析患者127例を対象とし,鉄欠乏をよりよく反映する新しい指標として網状赤血球ヘモグロビン量(CHr),血清トランスフェリンレセプター(sTfR),低色素性赤血球比率(HRC),赤血球フェリチン(RBCFt)を測定し,その診断上の有用性を評価した.sTfRはTSと相関を認め,鉄欠乏群では,健常群,鉄飽和率高値群,鉄充足群に比し,有意に高値を示しており鉄欠乏の診断に有用と考えられた.HRCは血液透析患者が健常者に比べ有意に高値を示した.RBCFtが炎症や腫瘍性疾患による影響を受けにくく,血清フェリチン(sFt)よりも鉄欠乏の診断により有用であることが示唆された.HRCとsTfRはRecombinant human erythropoietin(rHuEPO)の影響を考慮する必要があるが,CHr,sTfR,HRC,RBCFtいずれの指標も鉄欠乏の診断に有用であると考えられた