Nakano Norihiko, Higashiyama Shigeki, Kajihara Kenichi, Endo Takeshi, Ishiguro Hiroshi, Yamada Kouji, Nagatsu Toshiharu, Taniguchi Naoyuki
The Journal of Biochemistry 127(5) 925-930 2000年5月
神経,また胸腺由来のErbBキナーゼ(NTAK)活性化因子はErbB3とErbB4に直接結合し,ErbB2を活性化するneuregulinファミリーのメンバーであると最近言われている.ラットNTAKには少なくともα1,α2a,α2b,β,γの5つの代替アイソフォームがある.これらアイソフォームの生物学的な特性を理解するため,それぞれ異なるEGF様領域をもつNTAKα2aとβアイソフォームに焦点を絞り研究した.ヒト乳癌細胞MDA-MB-453細胞とT47D細胞の細胞成長及びチロシン脱リン酸化における,これらアイソフォームの影響をリコンビナント蛋白を用いて調べた.細胞成長についてはNTAKα2aはT47D細胞を,NTAKβはMDA-MB-453細胞をそれぞれ選択的,用量依存的に刺激した.NTAKα2aとβは両者ともErbB2のチロシン脱リン酸化を高レベルに減少させたが,NTAKα2aはErbB3の,NTAKβはErbB4の脱リン酸化をそれぞれ選択的に減少させた.このように,NTAKα2aとNTAKβは違った受容体のコンビネーションから細胞成長を刺激する