服部 良信, 杉村 修一郎, 小澤 勝男, 入山 正, 中村 肇, 松田 昌浩
人工臓器 19(1) 549-552 1990年
昭和61年1月より平成元年7月の間に当科で無血充填の体外循環(CPB)を施行した55例を検討した。男27例女28例で体重20kg未満をA群7例, 20kg以上30kg未満をB群11例, 30kg以上をC群37例とし, 完全無輸血はA群5例, B群9例, C群30例に施行できた。各群の平均の年齢, 体重, 希釈率, CPB時間はA群5.4歳, 17.1kg, 45.9%, 57.9分, B群8.9歳, 25.9kg, 40.5%, 65.6分, C群38.2歳, 52.8kg, 30.5%, 102.9分であった。CPB中の最低血色素量(Hb)は, A群5.0±0.5g/dl, B群6.2±0.7g/dl, C群6.6±1.3g/dlで, A群はB群C群と有意差があったが, 帰室後は3群間に有意差を認めなかった。ドレーンからの出血量はA群が多い傾向にあったが, 帰室後の最低Hbとその出現日には有意差がなかった。血清総蛋白質も3群間に有意差はなく, 血小板はC群に比しA群B群が多い傾向にあった。体重20kg未満でも症例を選択すれば, 完全無輸血開心術が安全に施行できる。