小林義和, 佐藤公治, 水谷英樹, 北川 健, 相澤貴子, 近藤俊, 今村基尊, 大西智子, 奥本隆行, 吉村陽子, 山田治基
日本口蓋裂学会雑誌 40(1) 23-29 2015年4月 査読有り
近年,口唇口蓋裂患者に対する二次的顎裂部骨移植術の術後評価に,CT画像を用いた検討が報告されている。今回われわれは,二次的顎裂部骨移植術による骨架橋の成立に寄与する予後規定因子を明らかにするため,CT画像を用いた後方視的検討を行った。<br>13例に対し,患側上顎中切歯の根尖部,歯根中央部,歯槽骨頂部の高さに相当する断層面において,唇側,歯槽中央,口蓋側の,計9ヶ所で術後の骨架橋について評価した。骨架橋は,歯根中央部唇側では全例で認められ,以下,歯根中央部歯槽中央9例(69.2%),根尖部唇側および歯槽骨頂部歯槽中央8例(61.5%),歯槽骨頂部唇側6例(46.2%),歯根中央部口蓋側5例(38.5%),歯槽骨頂部口蓋側4例(30.8%),根尖部歯槽中央および口蓋側3例(23.1%)と続いた。また,単変量ロジスティック回帰分析の結果,歯根中央部の高さにおいて,歯槽中央および口蓋側では術前の顎裂幅径が術後の骨架橋成立に対する予知性の高い指標となることも明らかとなった。