長尾 静子, 高橋 久英
Experimental Animals 40(4) 557-560 1991年
一般にヒトの多発性嚢胞腎症 (PKD) の疾患モデルとして, 幼児型のcpkマウスと成人型のpcyマウスが用いられている。一方, ラットでは幼児型と成人型のPKDは, それぞれCy遺伝子のホモ型とヘテロ型に起因している。そこで, 2つのマウスPKD遺伝子が同一遺伝子の対立形質であるか否かを確認する為に, リンケージ試験を行なった。pcy遺伝子は第9番染色体上のd遺伝子とリンケージを示したが, cpk遺伝子では示さなかった。また分離テストでは, 2つのPKD遺伝子は独立していることが示された。これらの結果から, cpk遺伝子とpcy遺伝子は対立遺伝子ではなく, マウスのPKD発症における遺伝的メカニズムは, Cyラットとは異なることが示唆された。