梅本 俊治, 小平 進, 阿部 令彦, 宇都宮 利善, 植松 義和
日本大腸肛門病学会雑誌 44,385(3) 385-391 1991年
大腸癌治癒切除におけるmitomycin C (MMC), 5-fluorouracil (5-FU), tegafur (FT)を用いた補助化学療法の有用性を検討するために,封筒法による無作為比較対象研究(1979年12月~1983年8,月)を行った.結腸癌と直腸癌に分け,結腸癌ではA群(MMC 50mg術中腸管内投与+FT 1年間投与),B群(5-FU 1,500mg術中腸管内投与+FT 1年間投与)の2群を比較し,直腸癌ではA群(MMC 10~4mg/body/回間歌投与+FT 1年間投与),B群(5-FU 250mg/body/day術後2週間連日投与+FT 1年間投与)の2群を比較した.集積症例は378例(結腸癌171例,直腸癌207例)であった.5年生存率および健存率では,結腸癌A,B群問に差は認められなかったが,直腸癌ではA群に比しB群に予後良好な傾向を認め,特に直腸癌DukesC症例においては有意差(生存率p=0.047,健存率p=0.013)を認めた.