水野 謙司, 宮川 秀一, 堀口 明彦, 花井 恒一, 石原 慎, 伊東 昌広, 佐藤 禎, 浅野 之夫, 古澤 浩一, 堀口 祐爾, 今井 英夫
胆と膵 22(10) 859-863 2001年10月
47歳女.眼球黄染を主訴とした.血液生化学所見,US,CT,ERCP,PTBD,EUS所見等により,嚢胞性病変を伴う膵頭部癌と診断し,切除術を施行した.胃幽門部は,膵頭部の嚢胞の圧排により膨瘤しており,膵頭部の腫瘍は横行結腸間膜後面と上腸間膜静脈に浸潤していた為,膵頭十二指腸切除,門脈合併切除,2群リンパ切郭清を行った.膵頭部上方に認めた大きな嚢胞の大部分は乳頭腺腫で乳頭状隆起の部分は乳頭腺癌であった.乳頭状隆起の部分から膵実質内では管状腺癌となり,浸潤性に発育して総胆管,主膵管に浸潤していた.膵鉤部には小さい嚢胞があり,乳頭腺腫であった.管状癌と小さい嚢胞間では,小さい嚢胞の周囲へ管状腺癌の浸潤を認めた.これらにより膵頭部に発生した膵管内乳頭腫の一部が癌化し,乳頭腺癌から管状腺癌へと変化,浸潤性に発育していったと考えられた.症例は6ヵ月後に再発,癌死した